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2005/10/10

花組芝居『鏡花まつり 泉鏡花の草迷宮&泉鏡花の日本橋』

鏡花まつりは秋の華。
これはもう花組芝居でしかできないという、鏡花2作品連続上演企画が開幕しました。
初日の8日に拝見。

2作品連続上演用にセットも組まれて、上手下手にそれぞれ2階建て。基本的にはシンプルなものながら、ぼろぼろ襖とちゃんとした(?)襖、周りのススキのありなしなどでまったく違った景色に見えるのが面白いです。上部には金文字で「鏡花」。←これ、結構すごいというか意表ついてますよね…。

さて、13時に上演された『泉鏡花の草迷宮』から。
12年前の初演時の私の感想はこんな感じで、今も「本当に暑い夏の夜に見た一夜の夢」のような印象が強く残っていて、それだけにもう一度見るのが怖いような気さえしてました。
でも、実際に、客席の明かりが消えて(開幕前後のアナウンスはちょっと苦手ですが…スミマセン)、舞台のろうそくがぽっぽっとついて、潮騒の音と虫の音があたりを満たしたとき、不思議なくらいすんなりその世界に入っていけた気がします。
言うなら、初演は夏の草迷宮で、今回は秋の草迷宮、という感じ?
秋の夜のように深い、深々とした闇のような広がりを感じさせてくれる舞台でした。

旅の小次郎法師(桂憲一)が出合ったおばあさん(八代進一)の話を聞く内に入り込んでいく、幾重にも折り重なった迷宮世界。小次郎法師と一緒に私たちも迷宮に分け入っていくような、その構図が見事です。
(見るからにおばあさん変なのに、気づかずに普通に話してる小次郎がなんかおかしい…)

なかなか開かない後ろの襖がバーンと開いて、迷宮世界が展開していく瞬間は、スペースマウンテンで宇宙に突入していって眼前に宇宙が開ける瞬間のようにすごい。

自分も迷宮を一緒に体験しているような気持ちになれるのは小次郎法師を演じる桂さんの視線が明確だからで、様々な怪異現象の妖しさを堪能しつつも、つい小次郎の表情を追ってしまうことが多々ありました。

前回に引き続きの宰八の大井靖彦さん、今回もこの扮装で出てくるとは思わなかった(汗)。でも、おばあさん共々、人ならぬ身の面白さ、不思議さを体現してますね。おばあさんの八代さんは12年前と変わらず上手いです。

今回初の大役の葉越明の松原綾央さん。劇中(小次郎と共に)ただ二人の人間なのですが、どこか妖怪の世界と馴染んで違和感がないような、透明な空気が新鮮でした。ただ、「亡き母が歌ってくれた手毬歌を求める」という思いの切実さがもう一つ伝わりにくかった気が……。私が見たのは初日なので、これからどんどん変わっていかれるんでしょうね。期待します。

重層的な話で多分全部わかってないと思うんですが、それでもよい(よいのか?)と思える、「チョンチョン幕」の最後の場面、絵面が本当に見事でした。

18時開演の『泉鏡花の日本橋』。
こちらは一転して、人間ドラマがすごいスピード感(1時間40分!)でもって展開しています。
何より加納幸和さんのお孝が良い! これは加納さんの当たり役ですね。はじめのほうの気っぷの良さに、「お孝さん、カッコ良いッ!」と思ってしまう。変わって「同じく妻」の場面での柔らかな風情、別れの場面の切なさ悲しさ……と場面ごとの色合いの違いが、よりクッキリしてましたね。可愛くて悲しいお孝さんでした。

植本潤さんの清葉は、見る前は予想がつかなかったのですが、耐える風情の中に、どこか芯のあるものを感じさせられて印象深いです。何よりとても美しい清葉さんでした。葛木の姉の面影を宿す女性、という設定で、今回は二役で回想の葛木の姉も演じていますが、清葉から姉に変わる場面は、芝居の魔力というか、「おおっ」と思っちゃいました。

葛木晋三の各務立基さんも今回初役。初演の桂さんとはまた全然違った感じで、葛木のイヤな男のところを表現しながらも、でもお孝が惚れるのも無理はないよねというように納得できるような、というフクザツなものを魅力的に表現してました。各務さんの台詞の響きの良さはやっぱり鏡花物には合ってますね。

(すごく好きな場面が、葛木が「お孝の、巡礼にならないといけない」と別れていくところ。徐々に張られていく「南無阿弥陀仏」の紙と、そして、後ろに流れる、台詞とはうらはらの『聞かせてよ、恋の歌を』の曲との対比と……。お孝と葛木←は身勝手だけど……の切なさが胸に迫ってきて、忘れられない場面です)

赤熊は初演以来の持ち役である水下きよしさん。前半の色悪?っぽいカッコ良さと、磊落してもお孝を思い続けるという、情けないほどの恋の苦しさが際立ってましたね。

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鏡花物としてタイプが違う作品だと思ってましたが、2本通して見てみて「(作者の鏡花自身が投影されていると言われている)母(姉)に似た面影の女性を追い求める男性像」が両方に出てきていて、根底に流れるものの共通性に気づきました。ある意味「合わせ鏡」のようになってるのかな? これも2作同時上演の妙ですね。

この2作品を一度に堪能できる機会を与えてくれたことに感謝します。これもやはり花組芝居ならでは。

ということで、まだ見ますので追々書けたら書きますね。

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