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2005/08/08

花組芝居オフシアター「ハイライフ」

ジャンキーのならず者たちの「緻密な」(はたから見れば破綻してる)犯罪計画と、その空中分解。
と書くとおよそ花組芝居らしくない題材ですが。これもまた「ネオかぶき」。

「夏祭浪花鑑」とか、殺人やら悪事が出てくる歌舞伎作品はいっぱいありますが、それらもその時々の人間の有様をある様式美を持ちつつリアルに表現しているもの。それと同様にこの作品も、今の時代の人間の生きる姿をリアルに切り取っていて、その精神は見事に「かぶき」かな、と思いました。

最近は闇雲に暴力的な表現をする舞台が結構ありますけれど、加納さんの手に掛かるとリアルでありながら「絵」的な美しさもあるのですよね。例えばバグがビリーを刺すシーンでも白い衣装に血のりが浮き上がってくるところは、怖いけどぞっとするような美しさがありました。また、戯曲で指定がある「ボーン・トゥ・ラン」(ブルース・スプリングスティーン)からの連想で、短絡的にはロックとか激しい曲をバックミュージックを使いがちだと思うんですが、ここで掛かってるのはバッハなど教会音楽をアフリカンにアレンジしたもの(←なのだそうです)。これは舞台に広がりを与えていたし、宗教も一種の「麻薬」、トランス状態を生むものなので舞台のストーリーとの符合も感じました。

カナダ人の作家、マクドゥーガルの96年の戯曲。
ジャンキーたちの日常は破綻していて暴力的なところもあるけど、どこか滑稽で憎めない。そんな微妙な「リアル」さがある舞台でした。
麻薬をやっているということは、もちろん一歩間違えれば死に直結するので、その綱渡り感、スレスレ感もあったのかな。

とにかく喋りまくるディック(水下きよし)、暴力的な力強さがあるけどちょっと可愛らしいところもある?バグ(原川浩明)。二人の中にあるピントの外れた「連帯感」が印象的です。
(ちょい余談ですが、96年だと「born to run」は既に懐メロの域に達してた筈なので、刑務所入りが長かったジャンキーたちのズレ具合もここで端的に表現されてますね)
二枚目の容姿と裏腹にどこか生き急いじゃってるようなビリー(各務立基)は、どちらかというと彼の両面のうちの「イヤな感じ」のほうが目立っていたかも。。
ヤクで内臓がやられてる小心者のドニー(松原綾央)も、止められてるヤクを誘われるとズルズルやってしまうような人間の「弱さ」が出てましたね。


ちと余談。原作が書かれた96年のちょっと前の時期に姉がイギリスに住んでたんですが、当時のイギリスのATMはとても信用がならないものだったらしく、通帳がないのはもちろんのこと、ATMでお金を下ろすと残高に2000~3000円の誤差(!)があることはそんなに珍しいことではなかったそうで、「そういうのを避けるために、窓口でお金を下ろしましょう」というのは当時のイギリス在住者でよく言われてたことだそうです。当時、この話を聞いて、日本ではまったくあり得ないことだったので、とってもびっくりした…という記憶が甦ってきました(^^;。
もちろんドニーみたいな人がこっそり下ろしてたわけじゃないんでしょうけどねー。

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コメント

>登場シーン
あれも不思議にインパクトのある場面でしたよね。ラストのポーズは何を意味するのか? ちょっと気になります。

投稿: おおはら | 2005/08/21 14:21

「ボーン・トゥ・ラン」って当時、デビューから長らくヒットに恵まれなかったブルース・スプリングスティーンの、起死回生の一打だったんだそうです。(曲作りの段階から、売れそうな要素を必死に詰め込んでいったのだとか。よーく聴くと作り手の不器用さがところどころに感じられるのも好きです)(^^)
このあたりも、戯曲の方向性に合ってるような気が・・(^^)(とか思いついたのはたった今ですが(汗))

バッハの教会音楽、懐かしかったです(弾けます私あれ)(^^)聖者の行進のような登場シーン、死人を出してしまうその後の展開を思うと、なんだか厳粛な気持ちにもなりますね・・

投稿: froufrou | 2005/08/18 16:07

管理者様へ。新しく書いたブログの内容を告知させて頂くサイトを立ち上げました。宜しければ、ブログ更新の際に是非当サイトをご活用下さい。尚、ご興味無いようであれば、お手数ですがコメント削除の程、宜しくお願い致します。

投稿: BC7管理人 | 2005/08/13 05:37

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